Eクラッチとは?
ホンダは2023年10月に、新しく「ホンダEクラッチ」というシステムについて発表しています。
これはバイク向けのトランスミッションで、マニュアルミッションのクラッチを自動制御するものです。
つまり、ライダーがクラッチレバーを引いてギアチェンジすることなく、ギアを入れたりチェンジしたりできるようになるという技術です。
すべてのギアチェンジに対して有効なので、加速時のギアシフトだけでなく発進や停止でもクラッチレバーを操作する必要がなくなります。
もともとホンダにはDCTという機構があって、すでにいくつかのモデルに搭載されていました。
これは完全にクラッチレバーをなくして、どちらかというとATに近い形となっているものです。
しかし、このEクラッチでは、クラッチレバーがバイクに取り付けられているのが大きな特徴です。
ライダーは自分でクラッチを握ってギア操作をしたければ、手動でのクラッチ操作が優先されてギアシフトできます。
しかし、クラッチを握らない状態であれば自動的にシフトチェンジしていくわけです。
つまり手動と自動のどちらでもできるということで、ライダーの感覚や路面状況などによって好きに操作できるのが魅力です。
リターンライダーには大きなメリットになる
この新しいEクラッチは、さまざまなモデルに搭載されていくことが考えられますが、特に大排気量のモデルでメリットが大きいと思います。
大きなバイクだとどうしてもクラッチレバーが重くなるので、街乗りなどで頻繁にクラッチ操作をしていると握る手が疲れてきてしまうからです。
また、微妙なクラッチ操作をするのが難しくなって、エンストしたり思わぬ加速をしてしまったりするリスクもあります。
この点で、長らくバイクに乗っていなかったライダーが、またバイクに乗ろうとする時にかなり大きな助けとなります。
体力的にも、微妙な操作性にしても、Eクラッチのおかげでより楽に運転できるようになるからです。
こうしてリターンライダーの数を増やして、より多くの人がバイクに乗る楽しみを味わえるようにしてくれる、魅力的な装備となるわけです。
早く、さまざまなモデルにEクラッチが搭載される時を待ちたいと思います。
また、Eクラッチでは、走行から停車する時に自動的にクラッチを切ってくれます。
将来的に自動セーフティー機能をバイクにも装備する際の大きな一歩となることを意味しています。
自動で衝突を防止するに当たって、急減速からの停車までにクラッチを自動的に切るというのは必須の機能となるからです。
これから先、自動車と同じようにバイクでも飛躍的に安全性能が向上していくことが予想されますが、そのために必要な機能がまた一つ誕生したということです。